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歌田明弘の「地球村の事件簿」maglog版
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歌田明弘
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 1982年から92年まで、『現代思想』編集部を経て『ユリイカ』編集長。その後は、フリーで編集をしたり、大学の非常勤講師をしたりしながら、だいたい原稿を書いています。
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iPadを買って、アプリ探しの日々

電子書籍

公開日:2010/07/20 13:30
最終更新日:2010/07/20 13:34

アップルのCEOスティーヴ・ジョブスは、
キンドルの先を行く電子書籍端末としてiPadを紹介した。
たしかに「パソコン」を超え始めているが、
「先を行く」ばかりとはいえない。

●iPadはクラウドのコンテンツを使う装置

 iPadを買った。

 アップルのオンライン・ショップ「アップル・ストア」で購入したのだが、けっこう待たされた。5月28日の発売から少し経った6月9日に注文し、出荷されたのが21日。予定日が「7−10営業日」となっていたので遅れたわけではないが、あいかわらずの人気なのだろう。

 使ってみると、たしかに快適で、人気があるのも当然だ。
「結局は一種のパソコンなんだろう」そんなことも思いながら買ったのだが、実際使ってみると、ジョブスが言うように、これはもはやパソコンではないのかもしれないという気がしてきた。なぜかと言えば、iPadにはひとことで言って「パソコンっぽさ」がないからだ。
 ジョブスはiPadを、「スマートフォンとパソコンのあいだの製品」と言ったが、ネット接続「も」できるようにしたのがパソコンだったのに対して、iPadは、ネット(クラウド)のコンテンツをダウンロードやストリーミングで使うのに便利な端末といった感じになっている。

 そうしたことはホーム画面に並んでいるアイコンを見てもわかる。
 ソフトをダウンロードする「アップ・ストア」をはじめ、マップにユーチューブ、ブラウザにメールと、ネット接続前提のツールがずらっと並んでいる。
 iPadは、パソコンというよりも、「ネットのコンテンツを見たり読んだり聞いたりする電子的な板(ボード)」といったほうがふさわしい。
 「購入したら子どもにとられてしまった」という話をよく聞くが、それも当然だろう。
 パソコンが担っていたような「ビジネスマシン」の雰囲気がない(仕事部屋に置いておくと、あれこれ遊び始めて、仕事の進行にはかえって邪魔にさえなる)。
 少なくともさしあたり私にとっては、気晴らし役の「お遊びボード」だ。

 もちろんビジネスで使うこともいろいろ提案されてはいる。
 ワープロや表計算、プレゼン・ソフトなどもそれぞれ1200円で提供されており、仕事で実際に使っている人もいるのだろう。しかし、堅苦しくない雰囲気で仕事ができるのがビジネス・ツールとしてのiPadの最大の魅力ではないか。

 プレゼンでは、ジョブスがリビングのソファにすわってiPadを操作するといった演出をしたらしい。まさにそうしたものだということも使い始めてみるとよくわかる。
 外出時に持ち運ぶのには少し重いし大きいが、居間で使うぶんには問題ない。外へ行くときにはiPhoneやiPod、リビングでiPadというコンセプトなのだろう。

●iPadは情報家電のリモコンになる?

 実際にリビングでテレビを見ながら、iPadでコンテンツをあれこれ見ているうちに、以前この欄で書いたことを思い出した。
 タッチパネルの液晶端末をテレビのリモコンにして、番組表を表示したり電子新聞や書籍を読めるようにしたらいいのではないかと書いた。

 リモコンはあまりに複雑になってきたし、また電子番組表は、離れたテレビに映し出すには細かすぎる。だから、液晶を組みこんだリモコンに表示したほうがいい。リモコンとして使うだけではなく、ウェブ・サイトを見たり、電子的な新聞や雑誌・本が読めたらいいとも思った。
 iPadではさしあたりテレビ操作はできないが、Wi−Fiで家庭内LANに接続できるようにはなっている。だから、テレビはもちろん、LANに接続できる家電をこうした端末で操作できるようにするのはそれほどむずかしくはないはずだ。

●読書端末としてのiPadの問題点

 本誌787号では、iPadとキンドルを比較した。しかし、「iPadは読書端末ではないのだからこのふたつを比較するのはおかしい」という意見が、iPadを使っている人からほど出るかもしれない。

 アメリカでは新刊を電子版でも同時発売しているが、日本では魅力的な電子書籍のタイトルをそろえるのはタイヘンだ。アップルはアマゾンと違って「本屋」ではないし、出版社と面倒な交渉をしてまで電子書籍をそろえようとはしないかもしれない。

 そういうことがあるからか、アップルのブックストア「ibookstore」ではさしあたり日本語の本を売っていない。日本語の電子書籍が集まらなければ、いつまでたっても日本版「ibookstore」はできないかもしれない。それがなくてもiPadが売れるとなればなおさらだ。

 いまのところiPadで読める日本語の電子書籍はアプリとして売られている。
 ところが、アプリの「ブック」のカテゴリには現在すでに1686点もある。検索もできるが、当然ながら、検索するには目的の本の著者名か書名だけでもわかっていなければならない。漠然とミステリが読みたいとかSFが読みたいといったことになると、ひたすら探し回るしかなさそうだ。日本語の本と英語の本が分かれているわけでもなく、現状では英語の本が多いから、日本語の電子書籍をまともに探して読もうとすると、そうとう厄介だ。
 電子書籍が普及すると紙の本が売れなくなって書店は危機に陥るなどと言われるが、少なくともさしあたりは特定のジャンルの本を探したければ、iPadを使うよりも、本屋を歩き回るほうが簡単だ。

 ibookstoreのほうも現状では、ジャンルが「伝記・回想録」「フィクション&文学」「歴史」「宗教&スピリチュアル」「旅行」の5つだけ。英語の本ばかりだから仕方がないが、分類がいかにも洋書っぽい。
 「IT関係の本はどうやって見つけるんだ?」といったことになると、このジャンルわけによって探し当てるのは至難である。

●花盛りのアプリ周辺産業

 もっとも、本を見つけにくいというのはオンライン書店一般にいえることだ。
 売るほうからいえば、トップページに表示されているものは売れるが、ケータイなどではとくにトップページをはずれると、とたんに売れなくなってしまうらしい。

 アマゾンなどではそうならないために、購入履歴などを参照し、トップページに表示する本をアクセスする人ごとに関心のあるものに変えるといったことをやっている。あるいは、「その本を買った人はこんな本も買っています」といった提案もしている。つまり、本へたどり着くためのさまざまな工夫をしている。
 こうしたいろいろな試みをしないと、電子媒体では(検索で見つけられない本については)探しにくく、また売るほうも売りにくいショップになってしまう。

 アプリも、週に1000本増えているそうで、タイトルなどがわからないと探し当てにくい。だからだろうが、下のように、アプリおすすめサイトがいろいろとできている。
 アプリ探しが不便なので目下「アプリ周辺産業・花盛り」というわけだ。

afterword
「アイコンがきれい」という理由でアプリを買った人を見かけたが、「お遊びボード」だと考えれば、はっきりと目的を持って探すというより、たまたま出会ったものをインストールして楽しむほうがあっているのかもしれない。

関連サイト
●iPhone/iPod touch/iPadアプリの紹介サイト『BuzzApp!』(http://buzzapp.jp/
)。実際に買わなくても、紹介されているアプリを見ているだけでもけっこう楽しい。 
●『AppBank』(http://www.appbank.net/
)。こちらもiPhoneやiPadのアプリ紹介サイト。

(週刊アスキー「仮想報道」Vol.638)

 

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